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Update : Mar.07.1999

エアバッグに関する雑誌記事

 

エアバッグに関する雑誌の記事を集めたものです。
(作成はAug.26.1998。 掲載&更新するのを忘れていた)
(収集元はほとんどJAF MATE)

【注意】 以下の記事の中に『米国のエアバッグはシートベルトをしていない体重77kgの大人でも助かるようにと時速320kmの猛速で膨張する。』という記述が登場する。 エアバッグはSRS(補助拘束装置)すなわちシートベルトの補助装置という位置づけであるはずなのに「(米国において)シートベルトをしていない大人を対象にしている」というのは矛盾である。 米国ではエアバッグに打たれて死亡に至るケースがあるが、日本や欧州においては同様の心配をする必要はないと思われる(が、メーカーなどに質問をして確認したことはない)。

 

▼ 1998


【JAF MATE 1998/04 P6-7 知っていますか?エアバッグ】

エアバッグはどこで開かせるべきなのか
田辺賢治●(社)日本自動車工業会・安全部会保護装置分科会

 「こういう場合には開く」「こういう場合には開かない」という境界の存在が、ユーザーの理解を妨げているようです。衝突する角度、スピード、車全体として受けた衝撃力などからエアバッグセンサーがエアバッグの「開く」「開かない」を判断しますが、多くの事故では要素が複数絡みます。境界の部分には「開く」と「開かない」とが両方存在するよう設定しています。だから、似たような事故ケースでAの場合は開き、Bの場合は開かないということが起きます。ユーザーが理解しづらい理由はここにあると思います。
 エアバッグ展開と乗員の傷害で、極端な例ですが、たとえば、時速5kmの極低速時の衝突ならシートベルトだけで十分安全でも、時速100kmの高速時の衝突ではシートベルト着用だけでは頭がハンドルなどどこかにぶつかります。エアバッグが展開することで、乗員の傷害を一層軽減できる速度の境界があり、メーカーはそれを考えてエアバッグ展開の条件を設定しています。

 

デメリットの情報も伝えてほしい
井口尚志●国民生活センター・相談部

 消費者からの苦情の約7割が、「衝突したのにエアバッグが作動せず」というケース。作動のためには、衝突角度や速度などの条件があり、必ずしも開くとは限りませんが、「事故の時は必ず開く」と信じている消費者が多いのです。「開かないのは欠陥だ」というわけです。以前、TVCMでエアバッグの派手な宣伝が流れ、衝突実験ではダミー人形は必ずエアバッグに受け止められました。繰り返し見ていると消費者がエアバッグを万能な安全装置と理解してしまうのもいたしかたない内容でした。車の安全装備に関してメーカーは、メリット情報のみ流すのではなくデメリット面も伝えるべきだと思います。薬でたとえれば、効果・効能だけでなく効き目のない場合や副作用まで知らせ、後は消費者の判断を仰ぐのです。また、「SRSエアバッグ」という名称は一般の消費者には理解されていないので、たとえば「シートベルト補完型エアバッグ」などのわかりやすい名称に改めてほしいものです。


【JAF MATE 1998/04 P8-9 知っていますか?エアバッグ】

エアバッグ解除スイッチ導入を巡る騒動
岩尾善明●国際ジャーナリスト

 米国は新車にエアバッグ装着を義務づけているが、1月19日から米国のドライバーは業者に頼んで自分の車のエアバッグに解除スイッチを付けたり、回路を切ることができるようになった。ただし希望者は誰でも、ではなく一定の条件を満たしていると政府に認めてもらうことが必要だ。関係者は申請が殺到するのではと心配していたが、2月9日現在1万3100人が許可されたにとどまっている。 装着を義務づけながら一方でスイッチを認めるのは矛盾した話だが、これは近年の一連のエアバッグによる死亡事故に対する苦肉の応急策だ。
 連邦運輸省の調べによると、これまで急膨張するエアバッグに打たれて死んだ人は89人。うち50人が子供だった。エアバッグがすでに2620人の命を救った実績と比べると死亡事故数は少ないものの、マスコミで相次いで報じられると消費者の不安は高まる。「エアバッグさえ付いていなければ死ななかったはず」との批判が噴き出し、政府は1年がかりの検討の末、スイッチを認めることになった。
 これら死亡事故を見ると犠牲者の大部分がシートベルトをしていないか、正しく締めていなかった、子供は助手席にいた、身長が低くハンドルに接近しすぎていた。そこで、これらの危険がどうしても避けられない人だけには、解除スイッチの取り付けを認めることになった。具体的には、身長が低くハンドルから25.4cm以上離れては座れないとか、何らかの理由で子供を助手席に乗せざるを得ない人たちだ。

 希望者が政府に申請すると、折り返しスイッチを付けることの良し悪しを解説した小冊子と必要な条件を記した用紙が送られる。ドライバーがそれに記入して返送し、条件を満たしていれば自動的に許可となる。その許可証を自動車販売店や修理業者に持参、スイッチを取り付けてもらう。費用は240ドル(約3万円)で2時間で終わる。
 自動車メーカーや交通安全関係者はおおむねスイッチに賛成だが、実際に取り付け作業をする業者は別。AAA(アメリカ自動車協会)が全米700店を調べたところ3分の2が作業を断っていることがわかった。エアバッグを切ったため死傷者が出た時、裁判沙汰になることを恐れてのこと。政府の許可証はもらえたとしても、取り付けてくれる業者を見つけるのにひと苦労する人が続出しそうだ。
 スイッチを付けるとかえって危険が増すと見る人もいるが、すでに2人乗りスポーツカーや後部座席のないピックアップ・トラックにはスイッチ付きの新車が発売されている。これまでのところ問題は起きていない。
 今、関係者はエアバッグは正しく使えば心配ない、と消費者教育に懸命だ。「スイッチが必要な人はごくわずか。大部分のドライバーには正しいシートベルトの着用が何より肝心。ハンドルからできるだけ離れて座り、子供は後ろの座席が最も安全 」


【JAF MATE 1998/04 P10-11 知っていますか?エアバッグ】

シートベルトを締めてこそのエアバッグ

 この特集のタイトルページ(455ページ)に戻ってほしい。ダミー人形による衝突実験の写真(中央の大きい写真)が載っている。
 見ればエアバッグは正常に開いているのに、ドライバーの頭はフロントガラスを突き破ってしまっている。このように、シートベルトなしでエアバッグだけで乗員の安全は確保できない。エアバッグはシートベルトの着用を前提として設計されているからだ。
 エアバッグは正確にはSRSエアバッグという。「SRS」とは、Supplemental Restraint System の略で、「補助拘束装置」という意味。シートベルトで乗員を拘束し、その上で補助的に乗員の安全を確保するものだ。
 ところで、アメリカ自動車技術会(SAE)の論文によれば、エアバッグのみの救命効果は18%に過ぎず、 一方シートベルトだけでは42%の効果がある。さらにシートベルトとエアバッグ併用では46%までに達するという。

 一方、エアバッグの膨らむスピードは時速100〜300kmと言われる。エアバッグに近づきすぎるのが危険だというのはこの速度のためだ。ドライバーは前屈みになりすぎず、助手席同乗者はシートの先端に浅く腰かけず、またインストルメントパネルに顔や手足を近づけすぎないように注意する。
 なお、最近増えてきたサイドエアバッグでは、ドア側に体をもたれかけないことが大事。エアバッグの作動で強い衝撃を受ける危険性があるからだ。


【JAF MATE 1998/03 P39 世界交通ダイジェスト】

アメリカ : エアバッグ 切断スイッチの導入

 昨年11月、米国政府はエアバッグに関する新しい規則を発表した。自動車の持ち主で、一定の条件を備えていることが認められれば、エアバッグが作動しないようなスイッチを業者に取り付けてもらえるという内容だ。エアバッグを、“究極の安全装置”として世界でただひとり、装着を法律で義務付けた米国が、その政策を大きく軌道修正したことになる。
 米国の車にエアバッグが初めて登場したのは1985年。以来、新車の販売促進の手段として自動車メーカーは積極的に取り付け、政府も後追いする形でまず91年、運転席への装着を義務付け、続いて98年からあらゆる車にデュアル(運転席、助手席双方)エアバッグを義務付けた。97年末現在、6700万台にエアバッグが装着(うち2800万台がデュアル)されるまで普及している。
 この間エアバッグが作動した回数はざっと180万回。政府の推計では2620人が命を救われた。実績から見て安全装置の優等生と言ってもよい。こんなエアバッグになぜわざわざスイッチを付けて作動しないようにするのか。

子供の被害が多い
 米国のエアバッグは衝突の衝撃を受けると時速320kmの猛速で膨らむ。シートベルトをしない大人でも助かるようにとの配慮からだ。だが、このパワーに打たれて死ぬ人が出始めた。政府の調査によるとこれまで87人が死亡している。しかも過半の49人までが子供で、多くが十数kmの低速走行中の衝撃で作動した結果だ。エアバッグ作動の全体の回数から見れぱきわめて少ない死亡率放だが、「エアバッグさえ付いていなければ」との批判が一斉に噴き出し、消費者はエアバッグは救命装置なのか凶器なのかと、とまどった。
 事故の状況を見ると、死亡した子供49人中、12人は助手席で後ろ向きに装着したチャイルドシートにいた。34人はシートベルトをせずに助手席に、3人は正しくシートベルトをせずに助手席にいた。
 また、死亡した成人38人中35人がドライバーで、24人はシートベルトなし。13人が身長155cm以下の女性だった。

 こういった事故状況からいくつかの点が指摘されている。まず、子供はチャイルドシートに座っていても、またシートベルトをしていても助手席は危険。後部座席にチャイルドシートで乗るのがいちばん安全。ドライバーについてはシートベルトをきちんと着けていることが何より肝心。また、ハンドルのエアバッグカバーと胸部の問を少なくとも10インチ(25.4cm)以上離して座らないと、膨張途中のエアバッグに強打されるおそれがある、等々だ。
 ところで今回の新規則で、スイッチの取り付けが認められるのは、何らかの理由で危険が避けられないと判断された人に限られる。たとえば、日頃カープール(環境対策としての相乗り)を実践していて助手席に子供を乗せざるを得ない、とか、後部座席がない車を運転している、あるいは耳の病気でエアバッグがバンと膨らむ晋に耐えられない、背が低くてハンドルに近く座らざるを得ない、といった人たちだ。これについて各自動車メーカーと官民合同の組織が、啓蒙活動を展開している。「本当にスイッチが必要な人はごくわずか。大部分の人はシートベルトさえきちんとしていればエアバッグは間違いなく命を助けてくれるのでスイッチは不要。そして子供は助手席でなく後郡座席に」

▼ 1997


【JAF MATE 1997/1&2 P38-39 世界交通ダイジェスト】

アメリカ:助手席エアバッグにスイッチが付く?


 最近米国でエアバッグによる死亡事故が多発していることに対し、全米ハイウェイ交通安全局がようやく一連の安全対策を提案した。
(1) 3か月以内に生産が始まるすべての新車に新しい警告ラベルを貼る。エアバッグも使い方次第で危険を招くという警告だ。
(2) ユーザーからの要請があればエアバッグの回路を切ってもよい。
(3) エアバッグにスイッチを付けユーザーが操作できるようにする。
(4) 強すぎるエアバッグの膨張力を少し弱くする。
(5) いわゆるスマート・エアバッグを98年モデルから導入する。乗員の体重や姿勢などをセンサーで探知、状況に応じてエアバッグの作動を調整できるハイテクのエアバッグだ。

 エアバッグは米国ですでに1500人の命を救っている一方、普及するにつれ、死者も現われ始めた。91年以来、成人ドライバー19人、成人同乗者1人、9歳以下の子供31人が命を失った。成人の大部分は身長の低い女性でシートベルトをしていなかった。子供はいずれも助手席で、ちゃんとシートベルトをしていないか、後ろ向きのチャイルドシートに座っていた。
 米国のエアバッグは、通常の身長の成人がシートベルトをしていなくても助かるようにとの考えから、時速320kmの猛速で膨張するよう作られている。死亡した低身長の人たちは、シートベルトをしていなかったため衝突のショックで体が前方にのめったところを、この猛速の工アバッグに頭や首を強打されたのだった。
 政府の安全対策案に対し早くも批判の声が相次いでいる。「高価なエアバッグの装若を法律で義務づけていながら、これを切ってもよいとは消費者を混乱させるだけ」「政府がもっと早く警告ラベルを徹底させ、エアバッグの膨張力を弱めさせていたらこれら犠牲者は出なかったはず」「エアバッグはすばらしい安全装置なのにまるで手投げ弾のように危険な物との印象を作り出した」と、批判の内容はさまざまだ。


【JAF MATE 1997.05 P39 世界交通ダイジェスト】

アメリカ : メーカーVS.政府 エアバッグをめぐる戦い

 このところ米国の自動車メーカーと連邦政府の関係が険悪になっている。最近のクライスラー社とNHTSA(道路交通安全局)の“衝突”はその象徴的な出来事と言える。
 クライスラーの乗用車9万1000台のシートベルトが、政府の安全テストの結果欠陥と判定された。普通ならそのまま該当車のリコールとなっただろうが、今度はクライスラー社が公然と反対した。「欠陥があるのは政府のテスト方法だ」と連邦裁判所に訴え出たのだ。一方、NHTSAも引き下がらない。逆にクライスラー社を提訴してしまった。一自動車メーカーが公然と政府にたてつくのも異例なら、政府が法の強制力でその企業にリコールさせようとするのも前代未聞だ。
 こんな雲行きの中にもう,ひとつ新たな火ダネが加わった。死亡事故が続くエアバッグからどう危険を取り除くか、をめぐっての対立で、今度は自動車メーカー全体が相手だ。
 人の命を救うはずのエアバッグに打たれて死んだ人が1990年以来55人。NHTSAは自動車メーカーに対し、乗員の状況に応じて作動の有無やスピード、角度を自動的に調整できるエアバッグの開発を求めているが、問題は当面の応急策だ。
 米国のエアバッグはシートベルトをしていない体重77kgの大人でも助かるようにと時速320kmの猛速で膨張する。NHTSAは、まずこの速度を少し緩めることを決めた。自動車メーカーもこれは納得、98年モデルから力を弱めたエアバッグが登場する。解決されていない難題はエアバッグにスイッチを付けるかどうか。エアバッグの膨張力がこわいからスイッチで切れるようにしてほしいとの消費者の声に押されてNHTSAが提案しているが、自動車メーカーはこれに猛反対。安全性が高まる保証はないし、逆に製造者責任を問う訟訴が続出しかねないからだ。
 双方の対立をよそに,一般ユーザーのエアバッグにかける期待は急速に冷えつつある。カリフォルニアの調査によると,車を買う時にエアバッグを重視すると答えた人は、96年の82%から97年の57%へと激減している。


【JAF MATE 1997/08 P29 世界交通ダイジェスト】

スウェーデン:まだまだ広がる エアバッグ新技術

 米国ではエアバッグによる乗員の死傷事故をどうするか、でもめているが、スウェーデンに本拠を持つオートリヴ社が、新技術で解決できると名乗り出た。
 米国で人命救助のためのエアバッグで逆に命を落とすケースが出てきたのは、助手席にもエアバッグが義務づけられた96年型以降のこと。米運輸省の調べでは今までに63人が死亡した。犠牲者の多くは助手席にシートベルトをせずに座っていた子供か、ハンドルに体を近づけすぎていた身長の低いドライバーだ。
 米国の安全基準ではエアバッグの膨張力は、シートベルトをしていない大人(体重76kg、身長173cmを想定)でも助かるほど強くなければならない。このため工アバッグは時速320kmの猛速て膨らみ、その際乗員のあごを突き上げて首や背骨を傷つけることがわかった。
 そこで米道路交通安全局は当面の安全対策として、強すぎる膨張力を少し緩めることを認めた。が、膨張力を弱めれば、逆に助かるはずの命が助からなかったといラ事態も出てくるだろう。
 このジレンマを、オートリヴ社の新エアバッグRDS(放射膨張システム)は、フルパワーで膨張しながら乗員のあごを直撃しない仕組みによって解決したという。秘密はエアバッグの二重構造だ。エアバッグの中にもう1つのエアバッグがある。衝撃を受けると膨張ガスはまず中のバッグを周辺に向けて広げ、次いで中のバッグに設けた気孔からガスが前方、つまり乗員に向かって噴き出すという2段展開となる。従来型と異なり、RDSはまず乗員とハンドルの問に割り込む形で円周方向に広がるので、乗員は、“アッパーカット”を受けずに済む。
 価格は従来型より70〜90ドル高くなる程度。登場するのは早くて99年型からになりそうだ。
 側面衝突から乗員の頭を守るエアバッグの開発も進んでいる。ひとつはBMWが今夏売り出す98年型7、5シリーズに標準装備されるもの。Aビラ一下部と後部ドア天井の縁に固定された長さ1.5mのチューブが、衝撃を受けると直径12cmに膨らみ、サイドウィンドー上を対角線に伸びる。ドアに取り付けられたサイドエアバッグとセットになっている。一方ボルボがオートリヴ社と共同開発しているものは、カーテンが膨らみ、前・後部席の乗員の頭を側面衝突から守る。


[Caption-1] ボルボ、オートリヴ共同開発の“膨らむカーテン”。衝撃で、天井の縁に畳まれていたカーテンが膨らみ、前・後部座席の上部全体をカバーする。
[Caption-2a] ドライバーがハンドルに近すぎると、従来型のエアバッグでは、たとえ減速されている時でも乗員のあごを突き上げて膨らみ、首や背骨を傷める。
[Caption-2b] これに対しRDSは、まず放射状に膨らむので乗員のあごは打たない。膨らみ切った形は従来型と変わらない。

▼ 1996


【JAF MATE 1996/06 P39 さらに進む安全装置 アメリカ/日本】

ドライバーを守る身近な新技術

 ドライバーの安全を高める新技術の開発が盛んだ。前面衝突ばかりでなく、側面からの、さらには背後からの衝撃に備えた装置が登場する一方、頭や胸からひざ、下肢まで保護が広がってきた。最近発表されたいくつかを紹介する。

むち打ち防止シート ――――――――
 追突事故につきもののむち打ち症。衝撃でドライバーの体が前方に押きれるのに頭はがくんと後ろに引かれる。この動きを、捕手が球をミットにおさめる要領で包み込もうというのが、デルファイ・オートモーティブ(GMの部品部門)か開発した「キヤッチャーミット・シート」。後ろからの衝撃で乗員の体はシートの中に沈み、後退する。同時にヘッドレストが自動的にはね上がって頭を保護する。作動後は自動的に元に戻る。来春発売される次世代サーブ車から装備される予定だ。

エアベルト ――――――――――――
 エアバッグとシートベルトをくっつけてみたら、という英国の大学生の思いつきをARC社が実用化した。シートベルトそのものが細長いエアバッグになっており、衝撃を受けて膨らむと、ドライバーの体との接触面が通常のシートベルトの4倍にも増える。接触面が大きいほど衝撃は分散され吸収されやすくなる。エアバッグに似た働きをするため、ハンドルに頭を打ちつけることがなく、後部座席用のエアバッグを取り付ける必要もなくなる。通常のシートベルトより着け心地も良いという。

エアバッグ内蔵ヘッドレスト ――――
 ダイハツは、運輸省によって推進されているASV(先進安全自動車)研究の一環として、「エアバッグ内蔵二分割式ヘッドレスト」を開発した。これは、追突された時の頸部の「むち打ち運動」を防止するもの。センサーが追突を感知すると、ヘッドレスト内のエアバッグが展開し、ヘッドレストは前後2つの部分に分割される。そして、ヘッドレストの前半分が斜め上に押し出され、乗員の後頭部に接近、頭が後ろに傾く角度をできるだけ小さくして、頸部傷害の軽減に役立てようというもの。

ひざ用エアバッグ ―――――――――
 ふつうダッシュボードは金属板の上に発泡クッションが貼ってある。モートン・インターナショナル社は、このクッションの代わりに小型のエアバッグで作動する「ひざ保護板」を開発した。
 衝突時、主力のエアバッグが作動するのと同時にこのひざエアバッグも作動し、保護板を押し出す。従来の発泡クッションよりはるかに多く衝撃のエネルギーを吸収してひざや下肢を保護する。主力エアパッグの効果が最大限に得られるようドライバーの位置を正すのにも役立つ。

 

▼ 1995

 

▼ 1994


【JAF MATE 1994/1&2 P45】

 軽傷だが、エアバッグによるけがも明らかにされた。 米運輸省が93年7月現在でまとめた436件のけがについて見ると、いずれもバッグが膨らみきらないうちに生じている。これはドライバーがシートベルトをしていなかったため衝撃で体が前方に早くですぎたか、あるいはハンドルに近づきすぎていたことを物語る。


【CG 1994/01 P173】

 一般にエアバッグは、約20km/h以上の速度での衝突時にセンサーが衝撃を感知して、ECUが危険な衝突と判断し、点火信号を出してエアバッグを点火し、約0.01秒で自動式シートベルトが固定されるとともに、約0.03秒でバッグが完全に膨らみ、頭が約20cm動いたところで膨らんだエアバッグと頭が接触するように設計されている。

 GMによれば、死亡事故の予防効果は、3点式シートベルトのみで42%,エアバッグ単体で21%,エアバッグと3点式シートベルトで47%になるという。
 またフォードのデータでは、エアバッグが動作した場合の重傷者は、ベルトなしで30%,ベルトも使用していた場合では8%だったという。

 シートベルトを締めない状態で、エアバッグが動作すれば、姿勢によっては二次的な傷害を被る危険も大きいほか、後ろ向きのチャイルドシートを助手席に使用して、バッグが動作した場合の危険性も指摘されている。

 

 
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